研究概要 |
本研究では、電離衝撃波爆縮(radiation-driven implosion)により星が形成されると考えられるブライトリム分子雲の系統的な近赤外線撮像観測データを解析し、その天体物理学的な性質の調査を行った。撮影に用いた望遠鏡と近赤外カメラは、米国NOAO,Kitt Peak Observatoryの1.3m望遠鏡および4色(J,H,K,L)同時観測が可能な赤外線カメラ(SQIID)である(今回は、JHKの3バンドのみを使用)。観測対象は、北天でピックアップしたIRAS点源が付随するもの44のブライトリム分子雲(Sugitani et al.1991,ApJS 72)およびIRAS点源(遠赤外線源)が付随しないブライトリム分子雲約50天体観測の約100天体である。 データ解析は既設のワークステーションを用いて行った。データの総量は2ギガバイトとたいへん多く、1天体について3バンドの複数フレームを取得していることもあり、データ解析の中間ファイルも相当量となる。そのため、ハードディスクの増設を行った後に、大容量の光磁気ディスクを導入してデータ解析の効率化を行った。44天体については既に解析を完了した。その他の天体については、現在継続中である。 解析結果は、次のように要約される。IRAS点源が付随する約10天体を除いては、ブライトリム分子雲では複数の星が形成されていることが近赤外線観測から明らかになった。そのなかには、星がクラスター状に形成されているものが相当数ある。また、少なくとも6例についてはクラスター・メンバーの分布状態から、連鎖的星形成の証拠と考えられる。 この成果は、1995年3月23〜25日の日本天文学会春季年会に「ブライトリム分子雲に於ける連鎖的星生成」として講演を行った。また、“Young Star Clusters in Bright-rimmed Clouds : Small-scale Sequential Star Formation?"としてAstrophysical Journal Lettersに近日中に投稿予定である。さらに、“IR Study of Star Formation in Bright-rimmed Cloud with IRAS Point Sources"としてAstrophysical Journal Supplement Seriesに投稿準備中である。
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