最近の高エネルギー、大強度のイオン線形加速器開発計画ではビームロスを防ぐために、ビームの低エミッタンス化が重要なテーマとなっている。そのために本研究では、入射器である高周波四重極(RFQ)型線形加速器でのビームエミッタンス増大について計算、実験の両面から取り組んでいる。 計算面では、RFQ内部での粒子の運動シミュレーションコードを、粒子間の空間電荷効果による非線形力に加え、RFQ加速管の電極の3次元構造に由来する電場の非線形効果を計算に含むように改良した。これにより、ビームサイズがRFQ内部で大きくなった場所があると、通常よりもエミッタンス増加が起きやすいという結果を得た。 また、実験には京都大学化学研究所にある、433MHz帯の高周波を用いた2MeV-RFQ型線形加速器を使用している。この研究目的のためには、RFQの入射ビームと出力ビームのエミッタンスをビームハロ-まで含めて精度よく、かつ高速に測定する必要がある。そのために、ビームを照射した蛍光板による発光を、ビームパルスと同期した高速シャッターを持ったCCDカメラでモニターし、画像処理してエミッタンスを測定する方法を開発した。 これらに関する成果の一部は1994年度線形加速器国際会議(茨城)で報告している。現在はこのモニターを用いて計算結果と比較可能な測定データを収集している状況である。
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