研究概要 |
LIGO等の重力波望遠鏡の有望な観測対象である連星中性子星の合体寸前の最終段階では軌道運動に対するポストニュートン重力等の相対論的補正項と共に、星の自転と軌道の相互作用、自転同士の相互作用、及び潮汐力などの星の質量以外の内部状態により決まる諸量の影響が現われてくる。それは流体力学的な複雑な問題になるが、ここでは星の内部の運動はその重心の周りを中心からの距離のある線形な関数に限定し、内部自由度を有限に近似した星のモデルを採用した。軌道運動に対する相対論的効果及び、それに結びついた星の内部運動を同時に考えた連立系を考察した。2.5次までのポスト・ニュートニアンの補正項(軌道運動に関する2次までの項、スピン軌道相互作用、スピン-スピン相互作用、潮汐力,重力波放出による反作用)を矛盾なく考慮した方程式を数値的に解いた。 その結果、相対論的補正項および潮汐力による効果は定性的には同じ方向に働き、よりはやく合体する傾向になる。そのため、動経方向の速度は回転方向の10パーセント程度まで増加することがわかった。また、最終的に合体する時には潮汐力で引きのばされた方向がくっつくのではなく、やや斜め方向にぶつかることがわかった。(phase lagがある。) これらの結果は現在、論文にまとめている最中である。
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