研究課題/領域番号 |
06740285
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 豊 京都大学, 理学部, 助手 (60205870)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 液体ヘリウム / 固体ヘリウム / 結晶成長 / 巨視的量子トンネリング |
研究概要 |
本年度は現有の希釈冷凍機の改造増強から着手した。本機は以前に研究グループ内で自作した物であり老朽化に伴い数々の問題点が露見していたので、問題部分の取り替え改良などを行い今後の使用に耐えうる物にした。それに伴い超低温度用温度測定装置や温度制御回路を新たに自作した。これらの改良の結果希釈冷凍機は本研究を行うのに十分な性能(最低温度30mK以下冷凍力20μW@100mK)を保持するようになった。これに引き続き実験の鍵となる高感度圧力計(分解能1Pa@3MPa)および余分な容積を排除した試料容器を作成した。固体ヘリウム生成のための仕掛けとして先端の曲率半径を0.1μm程度に尖らせたタングステン針を用意し1000Vまでの高電圧をかける用意をした。これらの用意をして行った実験では以下のことが確かめられた。1.4Kで試料容器に閉じこめた液体ヘリウムを温度制御しながらゆっくり冷やしていくことにより1.0Kで臨界圧力2.5MPaより数KPa高い圧力の液体ヘリウムを準安定状態として数十分にわたって保持することに成功した。このとき希釈冷凍機内の温度分布によって試料の圧力が大きく影響を受け試料室近辺のみならず冷凍機の各部分の温度まで制御しなければ安定に保持できないことがわかった。この準安定状態の液体ヘリウムに対して針状電極の回りに与えた強電界による選択的な固体ヘリウムの生成を試みたところ、残念ながらほとんどの場合が予期していない場所からの偶発的な生成により安定状態である固液共存状態へと移行してしまった。針の形状と電圧より推定される電界強度は過去の知見からも十分な強度であり、なぜ電界による固体の生成がうまく起こらないのか原因を探っているところである。現在は形状を変えた針や別構造の強電界発生装置などを使って原因を探っているところである。また冷凍機内の温度分布の影響を排除するため試料室入り口へのコールドバルブの設置を検討している。
|