研究概要 |
1.ハルデンギャップ反強磁性体(CH_3)_4NNi(NO_2)_3(TMNIN)において、Ni^<2+>(S=1)チェーンのNO_2-ボンドのN核を100%^<15>N核で置換した粉末試料の作成を行った。 2.同時に、TMNIN試料の単結晶化を行った。1×0.1×0.1mm^3程度の大きさの単結晶作成には成功したが、現時点ではNMR測定は不可能である。より大型の単結晶試料作成を、継続して試みている。 3.H〜10Tの磁場中、測定温度T〜1.3K,4.2Kで、^<15>N核(I=1/2,γ=0.43143kHz/G)のNMRシグナルは観測できなかった。このとき、チェーン間に存在するテトラメチルアンモニウムイオン中の^<14>N核(I=1,γ=0.30752kHz/G)のNMRシグナルは良い感度で観測されており、チェーンサイトの^<15>N核はスピン-格子緩和時間T_1が短いため観測されないと考えている。TMNINの場合、臨界磁場H_c〜3T以上の磁場中ではギャップレス状態であるといわれている。そこではNiスピンのゆらぎが大きく、大きな超微細相互作用をもつと思われるNO_2ボンドの^<15>N核のT_1は非常に短くなっていると考えられる。この場合、H_c以下ではギャップ状態であるため観測される可能性があり、現在実験を進行中である。
|