研究課題/領域番号 |
06740294
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝至 広島大学, 理学部, 講師 (00192617)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 近藤絶縁体 / 超音波 / CeNiSn / CePtSn / 電気4重極子秩序 / UNiSn / X線回折 |
研究概要 |
1.CeNiSnにおけるコヒーレントギャップの成因を解明するには、この物質のP電子基底状態の波動関数の情報を得る必要がある。ただし、CeNiSnでは、高濃度近藤効果が強く、直接基底状態の波動関数を決めるのは難しい。そこで、本研究では、CeNiSnとアイソモルファスで、かつP電子が局在しているCePtSnの結晶場分裂した4P電子状態を超音波の実験から決定し、この結果を基にCeNiSnの電子状態を考察した。まず、6つの独立な全ての弾性率C_<11>〜C_<66>温度依存性を測定した。この結果、全ての弾性率に結晶場効果を発見した。歪み感受率による解析を行った結果、CePtSnの結晶場分裂エネルギーおよびP電子の波動関数を決定した。特に、基底状態は、0.03|±5/2〉+0.97|±3/2〉-0.26|±1/2〉と決まり1±3/2が支配的であることが解った。CeNiSnとCePtSnは、結晶構造が同じであるから、CeNiSnの基底状態も|±3/2〉が支配的であることが予想される。最近、三宅等は|±3/2〉基底状態の重要性を指摘している。また、我々のCeNiSnに対する比熱測定の結果は、三宅の予想を支持している様にみえる。従って、本研究からCeNiSnの基底状態は、|±3/2〉で記述できる可能性が高いことが明かにできた。 2.UNiSnの5P電子状態を理解するため、超音波実験およびx線回折実験を行った。この結果、以下の事項が解った。UNiSnの5p電子は、よく局在しており結晶場分裂した状態として記述できる。その基底状態は、「_3ノンクラマ-ス二重項である。この物質は、反強磁性転移に結晶構造の変化を伴う。これは、磁性を持つ第1励起状態「_4を起源とする1次の磁気転移にともない「_3の持つ電気4重極子が秩序化して構造変化するためである。
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