対流圏大気イオンの移動度スペクトル測定のためにわれわれが開発したドリフトチューブ型大気イオン移動度計をもとに、成層圏における大気イオン移動度スペクトル測定の問題点およびその解決方法について検討、実験を行った。 成層圏では気球に搭載しての測定になるが、その際問題になる振動によるノイズについてはイオン電流を検出するコレクター電極とドリフトリングおよびスペ-サなど装置全体との固定を強化することにより、大幅に低減できることがわかった。さらに、信号の積算によるランダムノイズの低減方法を組み合わせて測定することにより、電力線の50/60Hzのノイズが小さい成層圏では対流圏よりもS/N比の高い測定が可能であることがわかった。 また、測定の自動化を実現するためにパソコンを利用した自動測定システムの試作を行った。このシステムはパソコンと、高圧電源を制御するためのD/A変換ボードおよび測定のタイミングと測定信号の取り込を行なうデジタル出力付きのA/D変換ボードから構成した。自動測定プログラムはC言語で作成した。これによりワンボードマイコンを利用した自動測定システムの構築に向けての見通しを付けることができた。よりダイナミックレンジの広い測定を目指すには、電流アンプの制御がさらに必要であることが判明した。 今後は、感度の一層の向上を図るために電子増倍管を利用した検出器の実験を行なう予定である。
|