岩石の高温流動変形に伴って動的再結晶組織が起こる。この時の岩石組織の変化について、理論的に検討した。計算にはMathematicaを使用した。天然の岩石組織と比較するため。変成帯(四国三波川帯)および剪断帯(畑川マイロナイト)から岩石を採取し、顕微鏡写真から粒界をトレースした上で画像処理にかけた。その結果、石英の粒径分布は核形成-成長モデルでよく説明できることがわかった。これらの結果の一部は、学術雑誌に報告済みである。 岩石の流動変形下での組織の変化を定量的に調べるため、顕微鏡下でその場観察できる変形実験装置を用いることにした。この装置は回転式剪断変形装置であるため、定常流動や動的再結晶に必要な大きな歪みをかせぐことができる。岩石そのものを変形させることはできないので、模擬物質として有機溶媒(オクタクロロペンタン)を用いる。今年度は主に、剪断変形装置の改良と調整に終始した。まず、機械から送られてくる信号をA/D変換し、パーソナルコンピューター(IBM ThinkPad 230Cs)上で自動的にデータ処理するためのインターフェイスと、モーターの回転を制御するためのインターフェイスを取り付けた。力学データを取る上での問題点として、試料そのものの粘性よりも、試料と装置の間の摩擦力がきいてしまうという問題も浮かび上がってきた。
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