研究概要 |
1.四国西端部の南部秩父テレーンの野外地質調査を実施し,鳥巣層群相当層の地質図を作成した.また,放散虫化石用の岩石試料を採取・処理し,同層からの放散虫化石の産出を確認した.この成果は,鳥巣層群相当層の年代対比を行ううえで基礎的なデータとなる. 2.ジュラ紀末に栄えた放散虫Vallupus類についての世界各地からの産出データをレビューし,同類の古生物地理を明らかにした.それぞれの試料の年代位置づけについては,改訂した放散虫生層序区分をもちいた.鳥巣層群を含む日本の上部ジュラ系からの放散虫化石の産出記録などから,Vallupus類の生息温度の見積りを行った.この研究の成果は,古地理・古気候・古生態学の専門誌に発表予定である. 3.日本のジュラ・白亜紀境界を含む地層(鳥巣層群を含む)の年代を,改訂した放散虫生層序の枠組みの中に位置づけ,地層の対比を行った.これは,当該層準の深海相および陸棚相を単一の化石帯区分に位置づけたはじめての研究である.この成果は白亜紀研究の専門誌に発表予定である. 4.有人潜水艇"しんかい6500"により,マリアナ海溝の海側斜面から得られたチャートおよび凝灰岩の年代を,改訂した放散虫生層序区分をもちいて明らかにした.一部の岩石は鳥巣層群と同年代であることが明らかになった.この研究の成果は,JAMSTEC深海研究に掲載されている.
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