研究概要 |
今回は,主に珪酸塩スピネルγ-Fe_2SiO_4のウィスタイトFe_xOとスティショバイトSiO_2への分解について研究が行われた.まず最初,鉄かんらん石α-Fe_2SiO_4のみを出発物質として1470Kと1670Kで相平衡実験を行った.この場合,14GPaから19GPaの広い範囲でγ-Fe_2SiO_4+Fe_xO+SiO_2(+Fe)と言う相律に反する3(4)相共存領域が見られた.これは,加熱中に試料室の発生圧力が低下したためであると考えられる.そこで,加熱による圧力低下が小さな,大容量での高圧発生に取り組んだ.その結果,Blow-outの割合は増加したが,従来より4倍以上大きな体積に22GPa発生することに成功した.また,出発物質(α-Fe_2SiO_4と5%のFe_xO+Feの酸素フガシティー緩衝剤)には反応が十分進行するように触媒としてB_2O_3を5%混合した.そして,いままでは金属ヒーターをそのまま試料カプセルとして用いていたが,B_2O_3触媒がヒーターを侵食する可能性があるので,今回の実験では試料はFeカプセル中に入れ,FeカプセルはMgOでTaヒーターと絶縁した.この改良の結果,分解反応は良く進行することが分かった.実験はこのように当初の予定委より複雑かつ困難になったので,未だ十分な結果はでていないが,現在進行中である. この研究と平行して,緩衝剤となるFe_xOのxの決定も1070K,7GPaの条件で試みた.McCammon(1993)はこの条件ではxの最大値は0.97と報告しているが,今回の結果では0.98となった.これから,温度圧力範囲を変えて実験して行く予定である.
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