本研究は、太古代の縞状鉄鉱層(BIF)や、層状チャートの縞のパターンを解析することにより、初期地球の表層環境変化などのリズムを解明することを目的とした.研究対象としたBIFやチャートは、3.8Gaの西オーストラリア、クリーバビル地域のBIF、2.5Gaの西オーストラリア、ビーズリ-リバー地域のBIFである.これらの試料(総数:約500)について、画像処理解析の準備段階として、以下の作業を行った。 1.試料を層理面に垂直にダイヤモンドカッターで切断し、2枚のプレートを作製した. 2.2枚のサンプルプレートのうち1枚は保存用とし、もう1枚から岩石記載、全岩化学分析、コンピューター画像処理解析のためのチップを作製した. 3.代表的な部分の岩石粉末試料を作製し、蛍光X線分析により主要元素、ICP-MSにより微量、希土類元素の分析を行った。 4.得られた化学分析値について、多変量解析(因子分析)を行った. 因子分析の結果、2.5GaのBIF以外は、3つの因子が分散を説明するために必要であり、初期段階の画像処理解析を行うには不適当であることが判明した.これに対し、2.5GaのBIFは2つの因子(陸源砕屑物の因子と海成堆積物の因子)のみで分散がほとんど説明される比較的単純な系であることが判明した.またこのBIFは縞の連続性がよく、今後の画像処理に適したものと言える.今年度は初期作業までで、画像処理にまで至ることができなかったが、次年度中には解析できる見込みである.
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