本研究ではまず鉱物組織の各部から結晶構造に関する情報を得るために結晶組織各部からの回折強度データを多数を従来の単結晶構造解析法と同様の手段で収集し解析する。このとき、従来の単結晶回折法では試料結晶がXの中に完全に浸かった状態で回折を起こさせる(完浴法)。だが組織解析を目的とする場合は当然平板結晶を使用するので試料の形態によって従来のものとは異なった強度補正(有効体積の変化や吸収補正)を行う必要があると考えられる。そのためまず天然産の水晶単結晶を使用し4-circle diffractometerをφ=0固定モードで使用し薄片状試料からの回折線を透過法により強度データを収集し従来の単結晶法との結果を比較した。次に、鉱物試料の組織解析では試料組織各部からの回折強度データを収集する必要がある。この目的のために四軸回折計のゴニオメータ部に搭載できる微動ステージ付きゴニオメータヘッドを作成するした。微動ステージ、制御用コントローラ、コントローラ制御用コンピュータ、及び検出器としてイメージングプレートを購入した。これらの機器を組み合わせることにより、薄片状の鉱物試料をその面内方向で1ミクロン程度の精度で再現性よく目標位置にX線をあてる事を可能にし、各部分からの回折強度データを収集できることが可能になった。現在風化により緑簾石によって置き換えられつつあるリシア電気石の等に鉱物試料について組織各部の構造について回折実験を行っている。
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