研究課題/領域番号 |
06740422
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
地球化学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
平田 岳史 東京工業大学, 理学部・地球惑星科学科, 助手 (10251612)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 鉄隕石 / 超微量元素分析 / クリーンベンチ / 高精度同位体分析 |
研究概要 |
鉄・ニッケル合金からなる鉄隕石には、白金族元素、レニウム、タングステン、鉛などといった金属性元素が含まれており、これらの元素の存在度や同位体組成を調べることにより、太陽系進化、特に惑星核の物質化学的進化モデルの構築に関する直接的な知見が得られる。そこで本研究では、鉄隕石から正確な金属性超微量元素情報を引き出す目的で、1)ICP質量分析計(東京工業大学既有)の感度の向上、および2)簡易クリーンベンチを用いた低バックグラウンド環境(クリーン環境)の達成を試みた。 1)ICP質量分析計の感度の向上 まず、ICP-MSの改造においては、a)プラズマイオン源から分析元素イオンを引き出すインターフェイス部分の真空度を高めることによりイオンの引出し効率の向上、および、b)プラズマガスに微量の窒素を混合することにより分析元素のイオン化効率を高める(熱伝搬効率の向上による)ことに成功し、従来の装置のおよそ50倍の元素検出感度が得られた。 2)簡易クリーンベンチの製作 クリーンベンチについては、塩化ビニール製2連式小型クリーンベンチを製作した。市販されているガラス・ヘパフィルターにより濾過した空気を流し込むことにより、ベンチのクリーン度を100以下に抑えることができたが、若干の酸が存在する場合にアルカリ金属およびボロンがフィルターから溶脱し、試料を汚染する可能性が明らかとなった。特にボロンは、次の分析ターゲットとなるため試料への汚染は絶対に避けねばならない。そこで今回は、活性炭素(チャコールフィルター)、テフロンフィルター、アルカリ溶液濾過(バブリングによる)による空気清浄法を開発した。このシステムにより、ボロン、アルカリ元素を含む殆どの元素についてクリーン度100程度の環境を実現することができた。 今回開発したグリーンベンチにより、隕石中の超微量元素を分析する目的には十分なレベルのクリーン度が得られた。現行のシステムは試料の化学処理を目的としており、弱酸対応型となっているが、今後、特殊試料分解時に、より強い酸(例えば高濃度フッ化水素、過塩素酸など)を用いる場合には、フィルター材質等に問題が現れる可能性がある。クリーンベンチ耐酸性化は今後の最大の課題といえる。
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