単色性のよいレーザー2台およびチタンサファイヤレーザーを用いたドプラーフリー光・光二重共鳴偏光分光法により、アルカリ金属二原子分子のレーザー高分解能分光を行った結果、次のような知見を得ることができた。 1.NaK分子の高励起状態について、二段階励起による二重共鳴スペクトルを観測した結果、33016〜33674cm^<-1>領域について多くの高励起一重項状態を観測・同定することができた。また、観測されたいくつかの回転線においてエネルギーシフトおよび強度異常が生じていることが判明し、これらの異常は近傍に存在する電子励起状態との状態間摂動に起因しており、強度異常は摂動による遷移モーメントの打ち消し合い(干渉効果)によることを明らかにすることができた。 2.NaK分子のB^1II状態の解離限界近傍を観測した結果、観測された回転線にエネルギーシフトおよび線幅の広がりが生じている事が判明した。この広がりは近傍に存在するc^3Σ状態の解離連続帯を経てK(4p^2_<1/2>)原子を生じる前期解離に起因する事を明らかにすると共に、エネルギーシフトから、さらにb^3II状態とも強く相互作用している事が明らかとなった。 3.Cs_2分子のC^1IIu状態のv´=20までの振動回転準位を観測・同定する事ができた。v´>12の振動回転準位に大きなエネルギーシフトが見られるとともに、摂動の相手状態の振動回転準をも観測する事ができた。また、v´>14において線幅の広がりが観測され、この領域において近傍に存在するc^3Σu状態により前期解離している事が明らかとなった。
|