研究課題/領域番号 |
06740454
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学
|
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
中嶋 敦 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (30217715)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | しきい光電子 / 金属クラスター / 磁気ボトル / 電子エネルギー分析計 / 2成分クラスター |
研究概要 |
本研究では、(1)磁気ボトル型電子エネルギー分析計を高分解能化する、(2)ナトリウムをドープした金属クラスターのしきい光電子を観測する、の2点について研究を行なった。 磁気ボトル型分析計は電子の捕集効率が100%近いことから優れた電子エネルギー分析計である。しかし、電場との併用が困難な点と、大きな運動エネルギーをもつ測定対象にはドップラー幅が生じる点とが欠点であった。そこで、永久磁石を電導性炭素で被うことで電場との併用を可能とする一方、測定対象の運動エネルギーを脱離光を照射する直前に奪う手法を開発、改良した。この結果、これまで得られていたエネルギー分解能(20meV)を6meVにまで向上させることができた。しかしながら、炭素で覆った永久磁石の電位が接触電位(contact potential)によって安定化せず、電子エネルギーの絶対値が実験中に約50meVの範囲でふらつくことがわかった。今後、永久磁石の形状を最適化した上で、炭素被覆をニッケル被覆に改良すればエネルギー絶対値のふらつきは解決できると考えている。 また、この手法の応用として、ナトリウムをドープしたアルミニウム金属クラスターのしきい光電子を観測する研究を行なった。ナトリウム-アルミニウムクラスターの生成には強い冷却を可能とするために新しく分子線用パルスバルブを導入し、しきい光電子の観測を容易にした。イオン化光の波長を変化させてしきい光電子を観測すると、ナトリウム-アルミニウムクラスターの光電子とともに、同時に存在しているナトリウムクラスターからの光電子が併せて観測されてしまうことがわかった。ナトリウムクラスターが共存する条件下では、イオンの励起状態に対応するしきい光電子が広い波長範囲で観測されてしまうことから、ナトリウムをドープした金属クラスターのしきい光電子の測定では、測定対象の2成分クラスターを選択的に生成させる必要があることがわかった。
|