研究概要 |
光学活性なシクロプロパン化合物の新しい合成法の開発は大変重要である。最近、我々は1-セレノ-2-シリルエテンとビニルケトンとのルイス酸存在下での反応でケイ素の1,2-シフトを伴う全く新規な[2+1]環化付加飯能によりシクロプロパン化合物が得られることを見い出した。この反応において不斉合成反応の可能性を探りシクロプロパン合成法としての有用性を高めることは興味がある。 1-フェニルセレノ-2-トリメチルシリルエテン(1)とメチルビニルケトンとの反応をTiCl_4/Ti(OiPr)_4/(R)-or(S)-BINOL/MS4Aより系内で調製したルイス酸を用いて行なったところ光学活性なシス-シクロプロパン生成物(3)が得られた。生成物の不斉収率と化学収率はTiCl_4とTi(OiPr)_4の(1)に対する比に依存し12%ee(52%yield)から79%ee(7%yield)まで変化した。再現性あり適度の結果(43-47%ee/33-43%yield)はTiCl_4(1.1eq),Ti(OiPr_4)(0.54-0.65eq),BINOL(1.65eq)を用いて得られた。また、BINOLの代わりに(R,R)-1,2-diphenyee/16%yield)。TiCl_4の代わりにTiCl_4を用いてTiBr_4(1.1eq),Ti(OiPr)_4(0.55),(R)-BINOL(1.65eq)の比で反応させたが、7ee%/25%yieldで(3)が得られたのみであった。 生成したシクロプロパン(3)の不斉収率は高速液体クロマトグラフィーでキラルなカラム(CHIRALCEL OF)を用いて決定した。(3)の絶対配置は現在、既知のシクロプロパン誘導体に変換することによって決定しているところである。また不斉反応の発現した原因について,ルイス酸の構造及びルイス酸-メチルビニルケトン錯体の構造を考察することによって解明を現在試みている。
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