研究課題/領域番号 |
06740496
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
古田 寿昭 東邦大学, 理学部, 講師 (90231571)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | Caged cAMP / クマリン誘導体 / 光分解性保護基 / メダカの体色変化 / 膜透過性 |
研究概要 |
新規なCaged c AMPとして、2-アントラキノンミチル(1)、7-メトキシ-2-ヒドロキシメチルクマリル(2)および2-ナフチルメチル(3)の3種類を合成し、これらの暗所での安定性と光反応性を、従来報告されているCaged c AMP、2-ニトロフェニルエチル(4)およびデシル(5)と比較した。まず暗所での安定性として50%ジオキサン/水中(条件A)での半減期を測定したところ、3を除いていずれもCaged化合物として充分使用に耐え得る安定性を示したが、実際に細胞系で使える条件、1%ジメチルスルホキシドを含むリンガー溶液中(条件B)では安定性に顕著な違いが現れた。特に5は半減期0.5時間で、この条件では使用不能である。また1は、この溶媒系への溶解度が低かった。これに対し2は、半減期1000時間以上と安定性には問題無いことが解った。次に条件A及びBにおける光反応性を検討した。いずれも原料の消失と共にほぼ定量的にcAMPが生成した。条件Bでは反応の速さは2>4>1の順であり、2は光反応性も優れていることが明らかとなった。条件Aでの光反応性の速さは1>2>5>4の順で、ここでも従来の条件Aによるin vitroでの活性評価が、本当に細胞系で使えるかどうかの評価には適当ではないことがわかる。 in vitroでの活性評価により優れていることが明らかとなった新しいCaged cAMP2のバイオアッセイも行った。アッセイ系は、メダカの体色変化が黒色素胞内のcAMP濃度によって調節されていることを利用した。色素顆粒の拡散・凝集は顕微鏡で直接観察することができるので、蛍光顕微鏡の励起光を光源として光分解を行い、写真撮影後、画像解析処理システムで定量した。その結果、2は10秒間の光照射によって16%の拡散を引き起こした。これは2が細胞膜を透過して黒色素胞に取り込まれて、光照射によりcAMPを放出することを示している。
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