研究概要 |
1.[Pt_4(CH_3COO)_8]の面内配位座に種々のテトラミンを導入した錯体を合成し,そのX線結晶構造解析を行った。窒素間炭素数が2,2,2(既知),2,3,2のテトラミンを用いた場合,面内に配位子が2個,架橋-キ-レート架橋型で配位した錯体が,3,2,3のテトラミンを用いた場合,面内に配位子が1個,キレート-架橋-キレート型に配位し架橋酢酸イオンが2個残った錯体が得られた。以上のことから窒素間炭素数が3個の場合架橋型をとり,2個の場合キレート型をとり易く,また2個の場合は架橋型にもなり得ることが分かった。また3,2,3のテトラミンの場合過剰の配位子を加えても1個置換した錯体のみが得られること,テトラミンの末端の窒素と白金と面内酢酸イオンの酸素とのなす角が小さく歪みが大きいことを考え合わせると,大環状キレート配位子を合成する場合窒素間炭素数が3個の部分はあまり多く用いない方が良いことが分かった。また,環化反応については種々の反応を試みたが成功しなかった。 2.以上の研究の他,[Pt_4(CH_3COO)_8]にアミノ酸(glycine,L-alanine,L-valine,L-phenylalanine,L-proline,L-hydroxyproline)を配位させた錯体の合成についても行った。アミノ酸はカルボキシル基による架橋配位とカルボキシル基とアミノ基によるキレート配位の2種類が考えられるが,X線結晶構造解析(glycine,L-proline錯体)の結果キレート配位であることが分かった。白金四核骨格がmeso型の立体構造をとるため,光学活性なアミノ酸を配位させた場合もともと等価であった白金の環境が2種類になる。この2つのサイトの環境の違いは白金核NMRの化学シフトに見られ,proline錯体において最も顕著であり,その差は133.5ppmとして観測された。
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