Mo_3S_4アクア錯体と有機ロジウム基との反応による金属取込み反応より、単結晶を単離した。この単結晶を用いてX線結晶構造解析を行なった結果、Mo_3RhS_4骨格をもつクラスター錯体が生成することを確認した(図1)。この錯体はキュバン型のMo_3RhS_4骨格が、酸素架橋で結合し、新しいタイプのツインキュバン型骨格を形成していることが明らかになった。紫外、可視、近赤外領域における吸収スペクトルの測定、およびX線光電子スペクトルの測定結果より、錯体の物性に関する知見を得ることに成功した。 錯体の反応性について試験したところ、塩化物イオンやチオシアン酸イオンなどを加えることにより、吸収スペクトルに大きな変化が確認された。反応生成物について、微細な結晶を単離したが、その構造など明らかにするには至らなかった。また本錯体と有機小分子との反応についてもいくつかの実験を行ったが、はっきりとした結果を得るに至っていない。
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