研究概要 |
高密度SiO_2ガラスのアナログ物質である高密度GEO_2ガラスの合成を岡山大学地球内部研究センター設置の高圧装置により圧力誘起非晶質化を利用して行った。石英型結晶GEO_2を出発物質とし12〜20GPaまで加圧したのち圧力を開放した。合成した高密度GEO_2ガラスの構造を知るため密度測定、X線吸収実験(XAFS)を行った。 密度測定はバーマンバランス装置を用いて行い、合成圧力が高いほど密度が大きくなることがわかった。 GeのK端XAFS測定は高エネルギー物理学研究所放射光施設BL-10Bにおいて行った。このとき参照物質としてGEO_2のいくつかの多型(石英・ルチル型結晶、溶融急冷ガラス)も同時に測定した。得られた結果は以下の通りである。(1)高密度GEO_2ガラスのGeK端吸収スペクトル(XANES)の最大吸収ピークのエネルギー値は合成圧力が高いほど高くなることがわかった。このエネルギー値は石英型結晶と溶融急冷ガラスがほぼ同じでもっとも低く、つぎに高密度GEO_2ガラス、ルチル型結晶の順である。XANESスペクトルは短距離秩序に敏感であることから高密度GEO_2ガラスは出発物質の短距離秩序を失っていることが考えられる。(2)吸収微細構造を解析し配位距離に関する情報を得た。その結果、高密度GEO_2ガラスのGe-Ge距離は大きく2つに分離すること、および合成圧力が大きいほどこれら2つのGe-Ge距離がルチル型結晶のそれに近づいていくことがわかった。 なお、これらの結果はPhoton Factory Activity Report,12(1994)に報告している。
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