研究概要 |
静電場強度の異なるゼオライト細孔内におけるNO分子の挙動を調べる目的で、Si/Al比が4.35〜8.14のNa型モルデナイト(Na-M)ならびにイオン交換法により調製したカチオン種の異なるゼオライト(H-,K-,Ba-,Ca-M)への、NO吸着に伴うESRスペクトルを温度298〜103Kで測定した。いずれのモルデナイトも加熱脱気後にはESRシグナルが観察されなかったが、NO共存下では、NOの臨界温度(Tc)近傍でg=1.97にシグナルが現われた。NOは^2Π_<3/2>状態で0.765〜0.789にESRシグナルを示すことから、g=1.97にシグナルはNOは吸着により変化したNOによると考えられる。NOはCa-,Na-Xゼオライトに吸着して3NO→N_2O+NO_2と不均化する(Barrerら)。NO_2のESRはg=1.97にシグナルを示すことからNOはモルデナイト吸着においても不均化したと考えられる。g=1.97スピンの温度変化を調べると、いずれのゼオライトもNOのTc以上でシグナルが観測され。これは、ゼオライトミクロポア内での吸着質間、ならびに吸着質-表面間相互作用が増大し、Tc以上で吸着・不均化反応が起きたためと考えられる。NaMでは同一温度でのスピン量はNa^+サイト数の変化に対応し、NO_2生成にカチオンサイトが影響することがわかった。CaMのスピン量はBaMより著しく大きかった。これは、モルデナイト細孔内でCa^<2+>が形成する静電場強度がBa^<2+>と比べて大きいためと考えられる。一方、1価カチオンゼオライトへのNO吸着に伴うスピン量は、温度一定の時、Na型>K型>H型となった。HM内でプロトンサイトがH^+として存在するならば静電場強度はほかの1価カチオンと比べて最大となる。しかしスピン量は最低であったことから、NO_2生成には金属カチオンの存在が重要であると考えられる。
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