当初計画していた、ピリドオキサジノキノキサリンを計画に従い、ジクロロキノキサリンと、アミノヒドロキシピリジンの縮合により合成した。この骨核分子は一般的な有機溶媒への溶解性が低く、次のステップである、認識部位の導入が困難であった。そこで、脂溶性を高める事を目的として、トリフルオロメチル基(CF_<3->)を持つジクロロキノキサリン誘導体との縮合を試みた。このトリフルオロメチル-ピリドオキサジノキノキサリンはトリフルオロメチル基を有さないものと比べ一般有機溶媒への溶解性の向上は認められたが、いずれの化合物も蛍光強度が小さいことから、基本骨核を修飾の比較的容易なアントラセン誘導体に変更した。 次に、分子認識部位の導入を検討した。ヘキサエチレングリコールやヒドロキシメチル-12-クラウン-4と、アナトラセン-9-カルボン酸をエステル結合で結合させたエステル型ホスト、9-クロロメチルアントラセンとエーテル結合で結合させたエーテル型ホストを新規に合成した。これらのホスト分子のアセトニトリル溶液にアルカリ金属およびアルカリ土類金属のチオシアン酸塩、過塩素酸塩を添加したところ、アルカリ土類金属の塩に対し選択的に、1)エステル型ホストでは、蛍光の消光、2)エーテル型ホストでは蛍光強度の増加が観察された。
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