研究概要 |
1.分別定量法 クロルプロマジン-過酸化水素反応系に対する触媒作用を利用した、微量ヨウ化物イオンと、ヨウ素酸イオンの分別定量法を確立した。 これら、2つのイオンを含む試料に対して、硫酸酸性化で亜硝酸ナトリウムを加え、60℃に加熱することにより、ヨウ化物イオンのみが、ヨウ素(I_2)に酸化され、生成したヨウ素は、試料中から揮散する。過剰の亜硝酸イオンは、この反応系に干渉するので、スルファミン酸を加えて分解する。その後、試料中のヨウ素酸イオンを接触分析法で定量する。この亜硝酸イオンを用いた前処理を行わなければ、総ヨウ素濃度(I^-+IO_3^-)が測定できるので、この2つの値の差からヨウ化物イオン濃度がわかる。確立した最適条件下でヨウ素を0.2μgl^<-1>-5μgl^<-1>の濃度範囲で含む試料中のヨウ素酸イオンと、ヨウ化物イオンが、精度よく定量できた。本法は河川水試料中のヨウ素の分別定量に適用できる。 2.反応速度論的検討 硫酸溶液中での過酸化水素によるクロルプロマジンの酸化反応に対するヨウ化物イオンの触媒反応の機構を研究し、作成した速度式より反応機構を推定した。 (I)速度式 Ro=k[I^-][H^+][H_2O_2]+a (II)反応機構 H^++H_2O_2=HOOH_2^+(fast), I^-+HOOH_2^+→H_2O+HOI(slow), CP+HOI→Product(red)+I^-(fast) また、同時に進行する発色しない副反応についても検討を行い、以下の速度式を作成した。 Ro=k_1[CP][H^+][H_2O_2]+k_2[CP][H_2O_2] この速度式に適合する機構については、現在検討中である。
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