研究概要 |
1.Fe-Sセンターを保持した複合体の精製と構成サブユニット・電子伝達成分の同定:好熱性細菌C.tepidumを材料とし、厳密な嫌気的操作を用いて精製を試みた。膜タンパクの可溶化は、前回に報告している方法に従った。その結果、安定な電荷分離活性をもつ標品が得られた。ケミカルな酸化-還元差スペクトルからは、P840あたり2個のヘムc存在が推測された。レーザー閃光照射実験から、ヘムcはP840^+直接電子を渡すことが判明した(半減期t1/2=110μs)。ヘムcの個数に関しては、連続フラッシュ照射実験から、2個のヘムcが存在が明らかとなり、それぞれがP840^+に電子を渡した。この2個のヘムcを連続フラッシュ照射により酸化状態にした場合、P840^+はt1/2=30msで再還元された。この成分は、末端電子受容体であるFe-Sクラスターからの逆反応と考えられる。SDS-PAGEにより、本標品は5個のサブユニット(65,41,31,22,18 kDa)から構成されていた。このうち、31kDaサブユニットはF_A/F_Bタンパク、22kDaはモノヘム型チトクロムcであった。チトクロムcは複合体あたり、2個存在すると判断される。 2.チトクロムcサブユニットの遺伝子クローニングによる一次構造解析:C.limicolaのチトクロムcサブユニットのN末端側,C末端側ペプチドの部分アミノ酸配列の情報をもとに,プライマーを作製した。PCR法による遺伝子のクローニングを行ない,DNA配列からその一次構造を決定した。
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