Rhodobacter capsulatusのセンサーキナーゼRegBの膜貫通領域をカットしたDNA regB'をPCR法で増幅した。この時、T7 RNAポリメラーゼ系のベクターであるpT7-7に組み込むためregB'の5'末端と3'末端にそれぞれ制限酵素NdeIとXhoIの切断部位を導入するようプライマーを設計した。増幅されたregB'をpT7-7に導入し、大腸菌(C600/pGP1-2)にトランスフォーメションさせ、42℃の熱ショックでRegB'を発現させた。大腸菌をフレンチプレスで破壊後、10000gで10分、上清をさらに、39000gで1時間遠心し沈澱にRegB'に富む画分を得た。7M尿素でRegB'を可溶化し、DEAEバイオゲルA、ヒドロキシアパタイトにより精製した。精製されたRegB'はタンパク濃度0.3mg/ml、3M尿素、70mM メルカプトエタノール、5mM MgCl_2で室温30分間インキュベート後、透析で尿素を除きリフォールディングした。なお、全ての操作は嫌気下で行い、溶液は予め脱気後、充分窒素を通したものを用いた。リフォールディングされたRegB'に[γ-^<32>P]ATP、[α-^<32>P]ATP、[γ-^<32>P]GTPを加え室温で20分インキュベート後、SDSゲル電気泳動し、オートラジオグラフィーを行ったところ[γ-^<32>P]ATPを用いた時のみRegB'の自己リン酸化が起こった。次いで、レスポンスレギュレーターRegAをRegB'と[γ-^<32>P]ATPとともにインキュベートしたところ、RegB'に依存したRegAのリン酸化が起こり、センサーキナーゼRegBからレスポンスレギュレーターRegAへの情報伝達がリン酸基の転移によって起こることが確認された。リフォールディングされたRegB'を空気中に曝したり、嫌気下で酸化剤にフェリシアン化カリウムを加えると、RegB'の自己リン酸化能は失われた。また、フェリシアン化カリウムをカラム遠心で除去後、嫌気下でDTTとインキュベートするとRegB'の自己リン酸化能の回復が見られたので、RegB'はin vitroでも酸化還元状態を認識していることが解った。
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