研究概要 |
植物から初めてsoluble epoxide hydrolaseのcDNA(1.1kb)を単離した。cDNAは動物のcDNAに比べて約半分の長さしかないものであった。しかし、単離したcDNAを大腸菌で発現させ、組み換えタンパク質の活性を調べたところ、trans-stilbene oxideを基質とすることができ、4-fluorochalcone oxide、(2R,3R)-3-(4-nitrophenyl)glycidol、(2S,3S)-3-(4-nitrophenyl)glycidolを加えると各々100%、21%、74%の阻害が確認された。これは動物で知られているsoluble epoxide hydrolaseの特徴と一致するものであった。植物のsoluble epoxide hydrolase遺伝子は地上部のみで発現しており、乾燥ストレスや植物ホルモンの1つであるオーキシンによって発現が誘導されることが明らかになった。また、動物のsoluble epoxide hydrolaseとの比較から植物の遺伝子はhaloacid dehalogenaseと同じ祖先遺伝子から、動物の遺伝子はこれに加えてhaloalkane dehalogenaseと同じ祖先遺伝子からも進化したものと考えられた。 シロイヌナズナから短時間の乾燥ストレス処理によって誘導される遺伝子のcDNAを17種類得ているが、解析の結果、この中にHSP70-1、HSP81-2が含まれることが明らかとなった。これらの遺伝子発現は、熱ストレスヤ低温ストレスより乾燥ストレスによって強い誘導がかかることが判明した。従って、これらはHSPというよりHSCに分類されるべきものであることが分かった。 また、これらのcDNA群のなかにグループIIのLEAタンパク質をコードしているものがあり、その遺伝子発現はこれまで報告されているグループIIのLEAタンパク質遺伝子と発現様式が異なることが明らかとなった。
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