予備実験として、以下の実験を行った。 1.ワモンゴキブリ成虫雄をアクリル板で作った固定台に固定した後、左触角を切除し、右触角の近傍にサンタロールまたはヘキサノールをしみこませた濾紙を置き、30分放置後ただちに脳を取り出し、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)を用いたコハク酸脱水素酵素の組織化学を行った。その結果、脳は神経断端以外では全く反応を示さなかった。このことから、脳の神経周膜は反応液を透過させないことがわかった。 2.刺激後、脳をマイクロスライサ-を用いて、100μmの厚さの未固定切片にし、反応を試したところ、反応は見られたが、変形・付着が激しく、実用にならないことがわかった。 3.クライオトームを用いて、20μm厚の未固定凍結切片を作成し、スライドグラスに張り付けて反応させたところ、反応物が観察され、組織写真をデジタイザで読みとりパーソナルコンピュータで画像解析したが、切片のスライドグラスからの剥離がひどく、濃度を定量化できなかった。 現在、以下の方法で神経活性染色の確立をめざしている。 1.ゴキブリの頭部を開いて脳を露出させ、コラゲナーゼ処理により神経周膜を溶かした後、頭部を基質溶液で満たした状態で刺激を行い、刺激終了後ただちにNBT液を滴下することにより反応を行う。 2.通常の状態で刺激後ただちに脳を取り出し、凍結切片を作成し、スライドグラスに張り付けた後、ゼラチンコートを行い、剥離を予防してから反応を行う。
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