研究概要 |
Oryzias属12種(O.latipes,O.curvinotus,O.luzonesis,O.mekongnesis,O.javanicus,O.melastigma,O.minutillus,O.celebensis,O.marmoratus,O.matanensis,O.nigrimas,O.profundicola)とXenopoecilus属2種(X.oophorus,X.saracinorum)の計14種の魚類からチロクロームb遺伝子、12sリボソームRNA遺伝子をPCR法により増幅しその塩基配列を決定して、Oryzias属およびXenopoecilus属の系統関係を解析した。その結果、スラベシ島の淡水に分布する染色体融合グループは単系統的であることが明らかなった。またスラベシ島に分布するXenopoecilus属の2種は、ミトコンドリア12sリボソームRNA遺伝子の塩基配列からみたかぎり染色体融合型グループに強い関連をもつことが示された。日本メダカを含む両腕型染色体グループも単系統的であることが、ミトコンドリア12sリボソームRNA遺伝子および核DNAにある反復配列の解析から明らかとなった。単腕型染色体グループもO.minutillusを含み単系統であることが示唆された。染色体の形態から宇和により提唱されたメダカ属の3グループはミトコンドリアDNAの塩基配列に基ずく系統解析によってもそれぞれ単系統を形成することが示された。またO.javanicusと記載されている種にはインドネシアのジャカルタ周辺の潅漑用水や沼に分布する系統とシンガポール周辺の汽水域のマングローブ林に分布する系統の2つが存在することが示唆された。スラベシ島の学術調査で新たに発見された汽水性のメダカ属1種はシンガポール周辺に分布するO.javanicusと近縁であることが示された。
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