研究概要 |
平成5年度までに収集を終えているCTスキャナの画像データを用いて,下顎骨全体の(内部形状のデータを含んだ)三次元モデルを構築した.CTデータを採取した分類群はヒト、チンパンジー、ゴリラ、ニホンザルの4種である。このデータから、CADソフトウェアなどを用いて断面の外部輪郭や内部の骨量分布のデータをとりだし、補間・修正を行って三次元骨モデルを構築した。 モデリングに際しては,CT画像以外の以下のデータをも収集し,モデリングに利用した.1)類人猿下顎骨標本について線計測を行い,平均的な形態のモデルを作るためのサイズ・プロポーション等の調製に用いるため基礎データとして用いた.2)非接触式三次元計測器を用いて下顎骨標本の計測を行い下顎骨の外部形状データを収集した.これはCT画像から得た骨の輪郭の補正に用いられた こうして完成されたモデルは,下顎骨の外部形状のデータおよび下顎全体の骨量分布のデータを含んでいる. 出来上がったモデルを用いて,下顎の各部位での骨量分布パターンの比較分析を行った。下顎骨を下顎枝,下顎体,symphysis部の三部分に分けて,それぞれの部分について上記の4種間の骨質の集中度の種間変異を調べ,その結果についてバイオメカニクス的な観点から解釈を行った.さらに、このモデルをもとに有限要素法による力学的シミュレーションを行い、下顎の力学的なふるまいのヒト,類人猿,旧世界ザルの間の違いを分析した。
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