本研究では、ワイドギャップ半導体SiC/GaNヘテロ構造の作製を研究した。以下に本研究で得られた主な結果をまとめる。 1.CVD法によるSiC/GaNヘテロ接合の作製 (1)有機金属TMGaとNH_3を原料に用いてCVD法により、GaNの成長を試みた。サファイア基板上では、六角形の島状成長が支配的であるが、低温でGaNバッファ層を予め形成することにより、比較的表面の平坦な膜を得た。 (2)GaNとの格子不整合の小さいSiCを基板に用いるため、SiCエピタキシャル成長基板の作製条件を確立した。SiC{0001}オフ基板を用いることにより、低温で極めて表面の平坦性に優れた高品質SiC成長層を得た。 (3)SiC{0001}基板上へのGaNの成長を試み、成長条件が成長層に及ぼす影響を調べた。SiC(0001)Si面基板上の成長では比較的平坦なGaN成長層が得られたが、(0001)C面基板上では、核発生密度が高く、島状成長となった。 2.GaN/SiCヘテロ構造の評価 (1)CVDにより作製したGaN/SiC構造を二結晶X線回折により評価し、GaNがSiC基板とエピタキシャルの関係にあることが分かった。特に、SiC(0001)Si面上の成長層ではX線ロッキングカーブの半値幅が狭い。 (2)GaN/SiC構造をラマン散乱により評価したところ、GaN成長層が六方晶であることが判明した。 (3)ショットキー障壁によりGaN成長層の電気的性質を評価した。成長層はn型で10^<16>〜10^<17>cm^<-3>であった。
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