相互相関処理により入力画像中に特定の画像が存在するかどうかを判断し、その位置を見つけ出す方法をマッチドフィルタリングという。メチルオレンジ含有ポリビニルアルコール膜による位相共役光を相関処理に応用することで、マッチドフィルタリングを行い、その特性を調べた。 書き込み光と2つの対向する励起光をメチルオレンジ含有ポリビニルアルコール膜に入射させると、書き込み光の光路を逆進する位相共役光が発生する。この位相共役光の振幅は書き込み光の振幅の複素共役と2つの励起光の振幅の積に比例する。入力画像物体を書き込み光に、見つけ出そうとする特定の画像を一方の励起光にのせ、それぞれをレンズによりフーリエ変換してメチルオレンジ含有ポリビニルアルコール膜に入射させる。発生する位相共役光を再びレンズにより逆フーリエ変換することで、2つの画像の間の相互相関関数が得られ、入力画像中の特定の画像の位置が出力される。 メチルオレンジ含有ポリビニルアルコール膜による位相共役光の偏光状態を偏光プリズム、光検出器そしてインテリジェントレコーダ(補助金により購入)を用いて実時間で測定した結果、書き込み光と励起光の偏光方向は互いに直交させた場合が相関処理に適することが分かった。 この条件で光学系を組み、メチルオレンジ含有ポリビニルアルコール膜を用いてマッチトフィルタリングが行えることを確かめた。 約20μmの膜厚のメチルオレンジ含有ポリビニルアルコール膜を用いると、本光学系では、理論どうり約7mmの大きさの特定の画像の位置を見つけ出すことができた。大きな画像に対するマッチドフィルタリングを行う上で、メチルオレンジ含有ポリビニルアルコール膜は、結晶、液晶などのバルク材料に比べて有利であることが確かめられた。
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