研究課題/領域番号 |
06750039
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用光学・量子光工学
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大井川 治宏 筑波大学, 物質工学系, 講師 (60223715)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 半導体レーザ / 端面劣化 / 硫黄処理 / 保護膜 / オージェ電子分光法 / X線光電子分光法 / フォトルミネッセンス法 |
研究概要 |
本研究の目的は、(1)半導体レーザの「端面劣化」機構の解明と、(2)劣化を抑制するための保護膜の開発にある。端面劣化は、表面に存在する高密度欠陥(非発光再結合欠陥)を介在としたフォノンの放出が原因と考えられ、高出力化に伴う自由キャリア濃度の増加は、その反応を促進させる。そこで、我々が発見した「硫黄処理」を用いて、端面劣化の原因となる表面欠陥を取り除くと共に、処理面に物理・化学的に安定な絶縁保護膜を堆積させることで、端面劣化の抑制が可能かどうか調べた。以下に本研究の成果を、二項目に分けてまとめた。 (1)半導体レーザの「端面劣化」機構の解明 まず、半導体レーザの材料であるGaAs基板の端面に硫酸処理を施し、光照射時の表面電子特性や構造の変化をPL、RHEED、AES、XPS等の分析法を用いて測定・評価した。その結果、硫黄処理により端面での劣化速度は、通常表面と比べて10分の1程度になり、硫黄処理が劣化の抑制に有効であることがわかった。然し乍ら、新たな問題として(a)端面劣化には、(光出力時の)光化学反応による酸化現象が関係していること、(b)この酸化現象は、硫黄処理によって最表面に形成された硫黄膜の酸化によるものではなく、硫黄層を通り抜けた酸素が、直接GaAsと反応したものであること、(c)酸化反応により、Gaの酸化物が優先的に生成され、その結果としてAsが遊離してしまうことが明らかになった。 (2)端面劣化を抑制するための保護膜の開発 前述の(1)に基づき、端面の酸化を抑制するための保護膜の堆積を行った。但し、堆積時に界面の硫黄膜を乱さないことが重要である。そこで、まずMBE装置を用いて金属Alを1-2原子層蒸着し、安定なAl-S結合の形成により硫黄を表面に固定化した。その後、SiOx絶縁保護膜を100A蒸着し、劣化抑制膜とした。これにより、劣化速度を更に1桁以上小さくすることが出来た。
|