研究概要 |
本研究では、電子内視鏡にレーザスポット光およびスリット光の投影機能をもたせ、三角測量の原理を基本として体腔内の形状計測を行う方法を提案し、計測システムの構築、計測に必要な画像処理アルゴリズムの開発、測定精度の調査、胃標本を用いた臨床への適用可能性の検討等を行った。 実験は、光学ベンチ上で電子内視鏡撮影系および光投影光学系を組み、パーソナルコンピュータによりこれらを制御して、データの収集、解析を行った。スポット光、スリット光とも、それらの像の画像内位置の抽出が形状計測において基本となる。これを精度よく求めるために加重平均による輝点位置抽出プログラムを作成した。また内視鏡の広角結像特性によって像に強度の歪が生じるが,物体空間での形状を正しく求める上でこの歪み補正が必要である。このためのアルゴリズムを新規に開発した。 研究の前半では、スポット光を用いた測定原理の確認および測定精度の調査を行った。この結果、測定精度として約1cm〜2cmの測定距離に対して、平均で0.05mmの誤差内で測定可能であることが確認された。次にスリット光投影による光切断形状計測法を検討した。スリット光投影の場合、計測時間の点で有利である反面、輝点の不明確さと光量の不足による誤差のため測定精度が悪化する。今回の実験では、平均の誤差が約0.3mmという結果であった。スポット光投影に比べて誤差が増大しているものの、比較的大きな物体の形状を高速に測定する場合に有効である。 スリット光投影法を胃摘出標本にも適用して形状を求めたところ、視察によって推定される形状とよく対応し、提案する手法の臨床への適用可能性が示された。
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