NbとCuを使用したSNSブリッジを用い、三角形状にこの素子を配置して三素子を作製し、その電磁気的特性を調べた。ロックインアンプを用いた位相検波法による測定に先立ち、直流四端子法において精度を向上させた測定を行い、測定結果をResistively Shunted Junction(RSJ)モデルによる数値計算との比較により以下の知見が得られた。 1)各素子間の相関が弱いと仮定した簡単な近似回路を用いることにより、これまで確立されていなかった、各素子の抵抗の値を決めることができた。これにより、三素子の数値計算にもちいるパラメータのほとんどを実験で決めることが可能になった。 2)制御電流に対するゲート電流のしきい値特性に関しては、実験と数値計算の結果は定量的にもよく一致した。ただし、しきい値特性においてもループにトラップされる磁束の影響が顕著に現れることがわかった。 3)電流-電圧特性に関しては、しきい特性ほどの一致はみられない。また、数値計算で見られる電圧のロッキングも観測されていない。これは、各素子の特性がRSJモデルで完全に説明できないためと思われる。 以上の結果より、電流-電圧特性に関しては、素子の特性がよりRSJモデルで記述できる臨界温度T_c近傍での測定が重要であることが明確になった。 T_c近傍での測定のため、熱雑音などのノイズの影響を受けにくい、ロックインアンプを用いた位相検波法による測定を現在試みている。ただし、ホルダーや接地の取り方に非常に敏感なため、電圧ロッキングの観測に十分な精度までにはいたっていない。 なお、研究の一部は平成6年秋期応用物理学会学術講演会において発表した。
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