研究概要 |
プラズマ中に発生する微粒子は作製される薄膜の膜質劣化やデバイスの歩留まりの低下をもたらす.このため微粒子を抑制するために微粒子の発生・成長機構の解明が望まれている.本研究の目的は,アモルファスシリコン薄膜作製等に使用されるシランプラズマを対象として,微粒子の発生初期における成長機構を明らかにすることであった.このため変調高周波プラズマ法でサイズ制御した状態でナノメータサイズのSi微粒子を作製し,Si微粒子の初期成長過程を静電プローブ法を応用した「新しいその場測定法」と透過型電子顕微鏡,走査型電子顕微鏡,原子間力顕微鏡で調べた.またSi微粒子の電子親和力を光脱離法により測定することにより,Si微粒子を構成するSi原子の数を調べた.その結果,ナノメータサイズ以下の微粒子は10nm以上の微粒子の空間分布と同様,主として高周波電極側のプラズマ/シース境界付近で発生・成長していることが明らかになった.また光脱離法による電子親和力の測定から,プラズマ/シース境界付近で観測されるSi微粒子は数個から200個以下のSi原子で構成され,粒径は1nm程度であることが分かった.この微粒子の空間分布は放電中の正負イオンの分布とは違い,短寿命ラジカルの分布に似ている.この結果は多くの中性の短寿命ラジカルが微粒子発生初期において必要であることを示唆している.
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