研究概要 |
確率汎関数法を用いて2次元不規則表面による電磁波散乱波動場を不規則表面の汎関数としてWiener-Ito展開の形で表現し、不規則境界条件を解いてWiener核An,n=0,1,2,・・・を求め、これらから各種の散乱統計量を計算した。 具体的には 1.2次元不規則表面による電磁波散乱問題を1次元並びに2次元ノイマン、ディリクレ不規則表面によるスカラー波の散乱問題の定式化の結果を踏まえ、TE平面波とTM平面波入射の場合のWiener-Ito展開形を示した。 2.次に不規則面の境界条件を解いて、近似精度を上げたWiener核An,n=0,1,2を示した。 3.以上の結果を用いて、コヒーレント散乱振幅、インコヒーレント散乱角度分布などの各種の散乱統計量を数値的に計算した。 この結果、2次元ノイマン不規則表面においては電磁波の場合でもいわゆる後方強調散乱が現れることを理論と数値計算を用いたインコヒーレント散乱角度分布の両方で示した。更に、これが数学的には2次のWiener核A_2からの寄与であり、物理的には2つの"着物を着た"2重散乱過程の干渉による強調がノイマン表面の異常散乱を中間状態として生じたものであることを明らかにした。
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