本研究では単一熱サイクルを受けるセラミックス/金属接合材の界面反射波と接合強度の関係を調べ、熱サイクル強度の非破壊評価方法について検討した. 接合界面は本質系に材料不連続部であるため、目視による欠陥検査が困難である。本研究ではセラミックス金属接合材の強度の非破壊評価方法として、超音波法を用いた。まず、界面における超音波の反射および透特性を定量化するために、半無限体同士の接合体を界面に垂直に入射する平面波縦波および横波の反射率、過率をPapcovich-Neuberの変位関数を用いて定式化した。つぎに、窒化ケイ素と金属(銅)の界面における反射および透過特性を検討し、反射波の位相特性と振幅特性を比較した場合、本接合材では振幅特性の方が界面欠陥の検出には有利であることを示した。 界面欠陥を含めセラミックス/金属接合材の強度を定量的に評価するために、界面亀裂の効力拡大係数を分析し、セラミックスの破壊靱性値と比較し、界面欠陥からの不安定破壊条件を評価した。応力拡大係数の評価に際して接合残留応力による応力拡大係数と外力による応力拡大係数を独立に解析し、重ね合わせて界面亀裂の応力拡大係数とした。 熱サイクルを受けた接合材の強度評価方法の検討として、熱サイクル最高温度を変えた単一熱サイクル試験を行ない、熱サイクル試験前後における超音波法および光学顕微鏡による目視検査を行なった。超音波法においては、前述の解析結果に基づき、界面における反射波の先頭波の振幅を非破壊評価量として採用した。熱サイクル後の強度低下を調べる為に、室温において四点曲げ試験を行なった。得られた結果に基づき、熱サイクル後の室温強度と超音波法による先頭波の振幅の関係を調べ、モデルを用いてこの関係を考察した。 以上の実験および解析研究を総合し、熱サイクルを受けるセラミックス/金属接合材の超音波法による非破壊強度評価方法の有効性について考察を行なった。
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