1.撚りの無い糸の場合は繊維の束を平行に引き揃えて衝撃引張試験装置に取り付けることができたが、撚りを加えた糸では繊維が円筒状に集まり、楔形の半割治具によってロードセルに直接取り付けることは困難であった。この半割治具の内面形状を種々工夫することによって試料に無理な予ひずみを与えること無く、実験装置に取り付けることができ、衝撃域を含む種々のひずみ速度におけるアラミド繊維撚糸の引張り試験を行うことができた。 2.ひずみ速度では10^<-3>〜10^3s^<-1>(試料長はいずれの場合も50mm)の範囲、撚り数t(tは1mあたりの撚り数)では0〜104t/m(撚りの程度をあらわす係数K=t・D/2874では0〜2)の範囲を対象として、テクノ-ラ(国産のパラ型アラミド繊維)55D(Dは9000mあたりのグラム数(質量)をあらわす線密度)糸の応力-ひずみ線を求めることができた。 3.いずれの撚り数においてもひずみ速度の増加にともなって、弾性率は増加し、破断ひずみは減少した。破断応力には単調な傾向は見られなかった。 4.いずれのひずみ速度においても、加撚により弾性率は減少し、破断ひずみは増加した。破断応力には単調な傾向はみられなかった。 5.例えばひずみ速度10^2s^<-1>程度において最も大きな衝撃吸収エネルギ(破断ひずみ×破断応力)を示す撚り数は52t/m(K=1)であった。
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