研究概要 |
焼結あるいは粉末冶金の製造業に果す役割は年々重要になってきている.しかし,その物理的なメカニズムに対しては40年ほどまえに研究がなされてから大きな進歩が少い.つまり,焼結体の特性を予測するために現象の数値シミュレーションを試みる際に,そのための理論的あるいは実験的資料が不足しているのが現状である. そこで,本研究では顕微鏡下で焼結現象の観察などが実施できるマイクロラボラトリ(超小型実験室)を開発して,粉末粒子間の焼結現象のメカニズムを検討し,理論およびシミュレーション構築のための基礎資料の充足を試みた. (1)光学顕微鏡下での焼結現象の観察などを可能にするマイクロラボラトリ(顕微鏡下超小型実験室)を設計・開発した.当装置は高真空雰囲気中での実験が可能であり,熱電対による温度監視・制御できる抵抗加熱ステージをもちこれにより資料を加熱でき,石英製の観察窓からリアルタイムに現象を観察でき,将来のマイクロファクトリなどへの拡張性を有している. (2)マイクロラボによる金属粉体粒子の焼結実験に使用する真球度の高い球状粉末を商用のアトマズ粉を融点以上に加熱して表面張力により作成するとともに,その最適条件に関する検討を行なった. (3)平面-円形断面線材間で,Cu-Cu,Al-AL,Cu-Al,Al-Cuの場合における焼結実験を試み,とくに異種金属間の接合現象およびEPMAによる成分分析などにより特徴的な拡散現象を明確にすることができた. (4)最後に,接合部の機械的評価に不可欠なマニピュレ-テイングの開発が残された.
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