研究概要 |
1.研究目的 ねじの締付け力をねじの降伏荷重により与える降伏点締付けは,ねじ締結体の限界設計に有用である.締付け方法として,締付けトルクのねじの回転角に対する変化率を検出するトルク匂配法が一般的であるが,作業には複雑な装置が必要となる.同様の方法である塑性域締付けは回転角法により実施されるが,締付け時の過大な塑性伸びに注意する必要があり,ねじの降伏の直接検出が望まれる.本研究では,降伏点締付けにおける締付け力管理方法として,ねじの降伏を高い精度と信頼性で決定するために,AE(アコースティック・エミッション)の検出による方法について検討する. 2.研究成果 (1)試験用ねじとしてM10のボルトを用い,その頭部にAEセンサを取り付けるための治具を設計・製作している.AEセンサをボルト頭部に密着させるため頭部を研削加工し,ワックスを介して取り付けている.引張り試験及び締付け試験において,ボルトの荷重-伸び曲線を測定する必要があるが,ボルト頭部のAEセンサをまたぐように変位計は取り付けられる.(2)AE計測装置(Uプロット9502)により測定されたAE信号に関する情報をGP-IBインターフェースを介してパーソナルコンピュータに取り込み,AEに関する各種の解析が行える計測システム及びソフトウェアを構成している.(3)弾塑性域締結ねじ性能試験機を用いてM10ボルトの単軸引張り試験を行い,ねじからのAEの検出を試みている.AEのイベントレート及び振幅分布の変化とねじの巨視的な降伏条件との関係について検討している.(4)締付けによるねじの降伏の検出の場合には,ねじ面等の摩擦面から生じるノイズを弁別するためのディスクリレベルの設定が設定などが今後の検討課題である.
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