研究概要 |
1.管寸法が同一で管軸張力のみが異なる5種類のコラプシブルチューブを用いて,管内の流れの自励振動に及ぼす管軸張力の影響を実験的に調べた.その結果,以下のことがわかった. (1)管軸張力を印加すると,管の軸方向の運動が束縛され,振動中の管のつぶれの形状が変わり,管軸張力の増加とともに,管下流部に局在していたつぶれの領域が上流部まで広がる. (2)管上下流端の差圧と下流流量の時間変動のリサジュー図形より,振動の1周期は2つの部分に分けられ,1つは管が全開からゆっくりつぶれて行く過程であり,その間差圧は低い値に留まりほとんど変化せず,差圧の時間平均値をほぼ同じ値をとる.他方は管が急激に全閉になったあと全開になる過程で非常に大きな差圧変動を伴い,その振幅は時間平均値の10〜20倍に達する.振動の周期は前者の時間の長さに依存して変わることがわかった. (3)管がつぶれる時相で生じる差圧波形のスパイク状の変動は,管下流圧の急激な減少によって生じる. (4)管が急激に開く時に生じ,上流へ伝播するへこみは伸び率が小さいほど伝播速度が大きい. 2.また,上流剛管部で流路を分岐させ,2本のコラプシブルチューブを並列に接続し,下流配管を合流あるいは分離させて流体を流した.その結果,以下のことがわかった. (1)下流配管を合流させると,流れに生じる自励振動が相互に干渉し,時間平均的には2本の管に流れる流量の差が少なくなり,振動周波数も似た値となったが,流量と差圧の時間変動波形は、単一の管の場合と大きく異なった.下流配管を分離させた場合は,単一の管の場合とほぼ同様の振動が生じた.
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