〈目的〉 空気回路において厚いオリフィスは、簡単な構造のため減圧や流量調節などの目的で多く用いられている。このオリフィスを通過する空気の流量特性は、オリフィスの上流と下流の圧力比により異なる。この圧力比は臨界圧力比を境に亜臨界圧力比と超臨界圧力比に分けられ、それぞれの流量特性は実験的および解析的に明らかにされている。しかし、これら研究は粒子を求めることが主目的であり、その制御については考えられていない。 そこで本研究は、流路内に音波を加えることにより、亜臨界圧力比において厚いオリフィスを通過する空気の流量を制御することを目的とする。 〈実験装置及び方法〉 実験装置は大別して音波発生部と供試オリフィスを有する流路からなる。信号発生器で作られた純音は、アンプで増幅されたのちに上流側に設置したスピーカーにより流路に放出される。音の周波数と流路の長さを調節することにより流路内に定在波を発生させる。定在波の存在はクントの実験の方法を用い確認する。流路内の流れは真空ポンプにより空気を排気することにより得られる。 〈実験結果〉 (1)静止した空気中に音波を印加した場合、オリフィス内径dが0.282≦d/D≦1(Dは流路内径)のとき、オリフィスの上流と下流側の流路でともに定在波が発生する。0≦d/D≦0.282のとき、上流側のみで共鳴する。 (二)一様流に音波を印加すると、オリフィス上流側の圧力は音波がないときと比べ、d/D=0.113の場合では著しく上昇、d/D=0.282の場合では著しく減少する。しかし、下流側の圧力の変化は小さい。したがって、この圧力変化によりオリフィスを通過する流量が音波によりアクティブコントロールすることが可能である。 〈まとめ〉 本研究では亜臨界圧力比における厚いオリフィスを通過する空気の流量を制御できることを明らかにした。今後、超臨界圧力比における流量の制御を調べるとともに、音波による流れの制御機構を解明する。
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