研究概要 |
流動層熱交換器において伝熱面と流動粒子間のふく射伝熱は,伝熱面近傍の粒子温度に強く依存することが知られている.本研究では,その熱伝達特性を把握するために,流動層に挿入した加熱伝熱面近傍の粒子温度を赤外線温度画像装置で可視化した.ここでは,伝熱面極近傍の粒子温度を流動状態を乱さず可視化するために,赤外線温度画像装置の検知波長である3〜5μmの赤外線に対して透明な伝熱面を用いて,その背面から流動粒子を観察した.この際,伝熱面の加熱には赤外線温度画像装置の視野をさえぎらないために,波長10.6μmの炭酸ガスレーザーによる加熱を行った.このため,伝熱面には画像装置の検知波長である3〜5μmの赤外線を透過し,10.6μmの炭酸ガスレーザーを吸収する弗化カルシウム(CaF2)を用いた. 以上の実験装置・方法により,空塔速度,粒子径および光学的性質の異なる粒子材料をパラメータに,それらが伝熱面近傍の粒子温度に与える影響を調べた.その結果,伝熱面近傍の粒子温度は粒子径に強く依存することが明らかとなった.粒子は伝熱面に接触することによって非定常に加熱されるが,小径粒子ほど熱容量が小さく,温度が高くなる. このことから,温度の高くなる小径粒子では放射するふく射が大きくなり,伝熱面とのふく射熱交換を抑制することが明らかになった.
|