研究概要 |
圧電素子が汎用的な機能性材料となり得るには位置及び力の再現性すなわちヒステリシス,温度の影響,周波数特性並びに動特性に関する改善が不可欠である。その改善策としては,再現性と温度特性の優れた高感度の単一材料の開発を目指すだけでは限界がある。本研究は,圧電素子の非線形特性を明らかにするとともに,素子自身の発生電圧をセンサ信号として使用した圧電アクチュエータの線形駆動法を呈示し,素子の高速・高精度駆動を実現するものである。 始めに,圧電素子の駆動用線形パワーアンプを製作し,種々の圧電素子の印加電圧と変位特性及び周波数特性を計測し,素子の変位曲線の履歴を把握した。 次に,圧電素子に電圧を印加すると素子にひずみが生じ,さらにその発生するひずみによって圧電素子から電圧信号が出力される。この電圧信号を抽出するセルフセンシング回路の試作並びに調整を行い,信号の抽出に成功した。 最後に,セルフセンシング回路の出力信号をフィートバックする線形駆動器を試作し,実験で求められた素子の固有非線形パラメータに基づき線形駆動器を調整し実験を行った。結果より,本セルフセンシング線形駆動法および線形駆動器の有効性が確認された。今後,可能な限り実用化に向けて改良を加え,本線形駆動アンプを小型化し,製品化する。
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