研究概要 |
非線形性を有する光磁気ディスクピックアップ装置を模擬した,疑似モデル実験装置を作成した.この疑似モデル装置は,サーボアクチュエータによりボールねじを回転させ,このボールねじにより1軸方向に駆動される柔軟構造物が取り付けてある.この柔軟構造物がボールねじに駆動されることにより,振動が発生し,この振動の制御を行う.この実験装置は,ボールねじ部の摩擦による非線形性を無視することができない. 任意の指令信号に対してこの実験装置を動作させ,このときのアクチュエータの角度,角速度,および柔軟構造物の変位,速度の時刻歴応答をそれぞれエンコーダとギャップセンサーにより検出する.以上のようなデータを数種類計測した. 実験装置の動特性を同定するためにニューラルネットワークを用いた.計測された実験データをこの実験装置の動特性として,ニューラルネットワークに学習するプログラムを,エンジニアリングワークステーション上において開発し,計測された実験データをニューラルネットワークに学習させることができた.また,従来用いられていた同定学習法より学習速度を向上させるために,同定法を改良した.これにより,非線形性を有する制御対象に対してモデル化を行うことなく,実験データから制御対象の動特性を表現することが可能であることが確認できた. 次に,この実験装置の動特性を学習したニューラルネットワークに対して,ニューラルネットワークにより構成された制御系を設計するためのプログラムの開発を行った.さらに,シミュレーションにより,その有効性の確認を行い良好な制御結果を得ることができた.これにより,ニューラルネットワークによる同定と制御が光磁気ピックアップへの適用が可能であることが確認できた.
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