研究概要 |
現在産業分野で使われている移動ロボットの多くは,作業環境内に存在する障害物の形状・位置がすべて既知であり,ロボットが障害物のモデルをあらかじめ持っている.しかし近年,一般環境下を移動するロボットの必要性が求められ,ロボットはすべての外界環境のモデルをあらかじめ持つことは不可能となっている.今後の移動ロボットは,一般環境下を自由に動き回り,大局的な目標地は人間が指示するものの,その目標地へ到達するために妨げとなる障害物を自律的にモデリングし回避しながら,最終的には目標地へ到達する自律移動ロボットが望まれる. ここでのような人間の障害物回避動作を考えてみると,人間は障害物形状の明確な認識を行わず,環境の曖昧な知覚のみにより障害物回避を行う.また視覚のみではなく,聴覚や触覚等の他の知覚による曖昧な情報も取り入れ,相補的,統合的に環境の認識を行い障害物の回避を行っている. そこで本研究では,障害物の存在領域を明確に判別せず,障害物存在確率として曖昧なままで処理し,移動中に次々と画像を取り込み情報を逐次蓄積する環境のモデリング法PEMM(Probabilitic Environment Modeling Method)を提案する. さらに,障害物存在確率をポテンシャルとすることによりポテンシャル法の適用を行い,移動ロボットの障害物回避に応用する手法を提案する. 本年度は,現有の4自由度ロボットと,CCDカメラ,レンズ,また,本研究で申請したビデオデッキとワークステーションを用いた,処理システムを構築し,確立的環境のモデリング法の検証と,リアルタイムで逐次障害物を回避しながら軌道計画を行った. 得られた結果は良好であり,研究成果は,1995年にアメリカ,ピッツバーグで開かれるIEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Sytemsにて発表予定である.
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