一般的な科学技術データは3次元空間に分布するスカラーやベクトル、もしくはテンソルで表される。このようなデータは多くの次元を持つため、可視化を行うことは困難である。人間の目は3次元の物体を網膜という2次元の平面に投影して認識するため、中身のつまったボリュームデータをそのまま把握することは一般に難しい。本研究では視覚情報に加えて力覚情報を導入することを行った。人間の力覚は力に関して3自由度、トルクに対して3自由度の情報を検知する機能があり、本質的には合計6次元の情報を認識している。したがって、力覚情報を用いればより高い次元の情報を表現することが可能になると考えられる。 本研究では以上のような機能を実現するための試作システムを開発しており、半透明のボリューム・ビジュアリゼーションを実時間で表示しつつ、6自由度のフォースディスプレイを同時に動作させることを実現している。この装置を用いてスカラー場とベクトル場の認識実験を行い、視覚だけの場合に比べて、力覚を加えた場合に認識精度が向上することを確認している。
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