研究概要 |
本研究は,画像処理を用いてドリルのチゼルエッジ,切れ刃,外周コーナ等を測定し,ドリル形状の重要なパラメータ,すなわちチゼル角,逃げ角等を計測するアルゴリズムを開発することが目的である.ドリルを回転テーブルに固定し,ドリルの先端または側面からCCDカメラによってドリル表面の画像(グレイスケール)を入力する.この画像から,チゼルエッジ,切れ刃,マージンの角度を測定し各形状パラメータを計算した。 本年度は,ドリル取り付け時の初期位置決めの方法にニューラルネットワークを用いた.これは任意の角度で取り付けられたドリルの先端方向から撮影した1枚の画像を,予め学習させたニューラルネットワークに入力し,次に行われるチゼル角測定のための位置に回転させるものである.この結果,昨年度のドリルを回転させながら数枚の画像を取り,その明るさの変化から最適位置を求める方法に比べて,処理速度は4倍,位置決め精度は標準偏差で1.58°から0.83°へと向上した. 初期位置決め後,切れ刃,チゼルエッジおよび外周コーナの角度を測定し,それらの関係よりチゼル角,逃げ角を求める.それらの角度測定のために,照明の明るさの変化や,欠け,付着したごみなどの外乱に対して影響を受けにくい直線(エッジ)検出アルゴリズムを開発した.これは,撮影した画像を一次微分した時の分布および明るさの分布から適当な範囲を計算し,2つの範囲の一致した画素をとることで,エッジを構成する画素を抽出する.さらにそれらをHough変換して目的とする直線部分を検出し,最小自乗法により直線を決定する方法である.この結果,上記の角度の測定精度(標準偏差)は昨年度の0.3°から0.1°以下に向上し実用可能な値が得られた.また,照明の明るさは,最も明るい時を基準として,その20%の明るさまで測定可能となった.
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