一般に、センサベーストパスプランニングでは、移動体はゴール方向が障害物に妨げられなければそれへ直進し、そうでなければその障害物を回避するという2種類の行動を逐次選択する。このとき、移動体のゴールGへの到達(これをデッドロックフリー特性と呼ぶ)を、コンセプト『障害物を回避し終えたのちそれから離脱するところをゴールGへ単調にさせる』で保証すると、距離アルゴリズムが誕生する。しかし、自己の位置を誤認識すると、移動体はこのコンセプトの運用を誤り、本来離れてはならないところから離脱したり、本来離れなければならないところから離れなかったりし、ゴールGから誤差分だけ離れたところ(架空のゴールG^*)へさえも到達できなくなる。 本研究では、従来の距離アルゴリズムの(ゴールG^*への)デッドロックフリー特性に、移動体の自己位置認識誤差Eがどの様な影響を与えるかについて検討した。 まず、移動体のコンピュータが推定する位置Aとその体自身が現実に占める位置A^*を考える。そして、位置Aを正則な射像で位置A^*へ移す誤差Eを正則誤差と定義する。すると、位置A^*も正則逆射像で位置Aに移り、コンピュータのパスPと体のパスP^*は相似形を成す。この相似関係により、対A^*が離れるべきところを頭Aで正しく認識でき、体A^*は架空のゴールG^*へ必ず到達できる。我々は、この性質を理論的に証明し、従来のアルゴリズムを修正した。また、それがデッドロックフリー特性を保持することをシミュレーションで確認した。 一方、正則誤差以外が発生するとき、パスPとパスP^*は相似形を成さないので、体A^*が離れるべきところを頭Aで正しく認識できない。その結果、体A^*は必ずしも架空のゴールG^*へさえ到着できないことを理論的に証明した。また、従来のアルゴリズムを最大限デッドロックフリーにするよう修正し、その有効性をシミュレーションで確認した。
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