1.ある想定事故(j)の過酷さの度合(セキュリティ)を定量的に評価できる以下の指標を開発した。 SI_j=Σ^^<NY>__<i=1>(y_<ji>-y_i^+y_i^-)^<2n>但しy_<ji>:j番目の事故におけるi番目の監視対象変数、n:整数(≧1)NY:監視対象変数の数、y_i^+=(y_<imax>+y_<imin>)/2、y_i^-=(y_<imax>-y_<imin>)/2上式の括弧内は、yが制限値を超えているときのみ1以上となるため、違反した変数は指標の値に大きな影響を及ぼす。また、制限値に近い変数が多数存在する場合にも指標は大きな値を示す。厳密潮流計算に基づき試算した結果、実際に逸脱を引き起こす事故は、指標の大きさの順位で上位にあり、その有効性が裏付けられた。 2.20〜30分毎に実施される基準状態の計算では、指標の値と状態変化(Δu)に対する指標の感度(dSI_j/du)を高速に計算する必要があり、具体的な計算手法を開発すると共に、モデル系統を用いてその有効性を確認した。 (1)指標の計算:高速分離潮流計算法で用いられるPQ分離増分回路に、事故を模擬するための電流源を注入することで、事故前のアドミタンス行列をそのまま用いて事故後の被制御変数(y)を解析する手法を開発した。 (2)感度の計算:上記の増分回路と線形回路理論の相反定理を用いて、指定変数に対する指標の感度を高速に算定する手法を開発した。この手法では、各指定変数に対する感度を1度の計算で求めることができる。 3.状態変化に伴う指標は、次式に従って近似的に求められるという考えに基づき試算を行った。 SI_j(u_0+Δu)≒SI_j(u_0)+dSI_j/du・Δu 感度に基づいて得られた変化後の指標(上式の右辺)は、厳密な指標(上式の左辺)と比べ順位に多少の相違はあるものの、逸脱を引き起こす事故が確実に選択され得るという点で有効であることが確認された。
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